レチノールとは?40代男性向けに基本を元研究者がやさしく解説

レチノールとは?40代の基本をやさしく 成分・処方

レチノールって、結局どんな成分なんだろう。——そこを知りたくて、この記事を開いた方に向けて書きました。

名前はよく聞くし、「40代にいい」とも紹介される。それでいて、じゃあどんな成分で、自分にも関係のある話なのかとなると、意外とはっきりしない。レチノールは、名前のわりに中身のつかみにくい成分だと思います。

もぐと申します。化粧品会社で13年ほど、肌を研究してきました。この記事では、「レチノールって、要するに何なんだ」から、40代の自分にも関係あるのかどうかまで、難しい言葉を使わず、順にお話ししていきます。ざっと知りたいだけなら、前半だけで十分です。

そもそもレチノールって、どんな成分?

まず、いちばん知りたいところから。

レチノールは、ビタミンAの仲間です。肌が新しく生まれ変わっていくのを後押しすると考えられている成分で、けっこう昔から使われてきました。

スキンケアの成分って、たくさんありますよね。ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC……。名前は違っても、その多くは「肌にうるおいを与えたり、逃がさないように保ったりする」係です。

レチノールは、そこがちょっと違います。うるおいを保つというより、肌が生まれ変わっていく“流れ”のほうに関わる。同じスキンケア成分でも、担当している場所が別なんです。ここだけ分かっておくと、このあとの話がすっと入ってきます。

もうひとつ、知っておくと安心なことを。レチノールは、長く使われてきたぶん、研究の積み重ねがある成分です。目新しさで持ち上げられているのではなく、時間をかけてはたらきや使い方が分かってきた、地に足のついた成分、という言い方が近いと思います。さらに、国から「シワを改善する有効成分」として認められてもいます。“シワを改善する”とうたえる成分として国に認められているものは、そう多くありません。レチノールは、その数少ないひとつなんです。

なぜ、40代でレチノールなのか

シワが気になるのは、40代に限った話ではありません。それでもレチノールが「40代」と結びつけて語られるのには、理由があります。シワには、段階があるからです。

若いうちにできる浅いシワの多くは、水分が足りずにできる「乾燥小ジワ」です。これは保湿で肌がふっくらすると、目立ちにくくなることが多い。つまり、保湿の領分です(このあたりは保湿の話にまとめています)。

ところが40代あたりから、シワが少しずつ「肌に残る」ようになってきます。うるおしても、戻りきらない。これは肌の奥の土台がゆっくり変化してきたサインと考えられていて、保湿だけでは追いつきにくいところです。

レチノールが関わると考えられているのは、ちょうどこの「残りはじめたシワ」。乾燥小ジワが中心だった時期を過ぎて、シワが肌に残りはじめる——その入れ替わりが起きるのが、ちょうど40代なんです。だから、この年代でレチノールの名前を見かけるようになる。

逆に言えば、深く刻まれきったシワを、家庭で使うレチノールでどうにかする、という話ではありません。まだ深くなりきる前の、気づきはじめた今だからこそ。それが、40代とレチノールがつながる理由です。

レチノールを使ったほうがいい人、そうでない人

「で、自分はどうなんだ」。この記事の、いちばんの本題です。答えは、いま何が気になっているかで変わってきます。

気になっているのが、気づきはじめたシワ・ハリのなさ・キメの乱れなら、レチノールは選択肢のひとつになります。さきほどの「残りはじめたシワ」に関わると考えられている成分だからです。今の肌が落ち着いているなら、試してみてもいいかもしれません。

ただ、自分のシワが「乾燥小ジワ」なのか「残りはじめたシワ」なのか、見分けにくいこともあると思います。簡単な目安があります。洗顔して化粧水などで保湿したあと、少し時間を置いて、そのシワがどうなるか。ふっくらして目立たなくなるようなら、水分不足の乾燥小ジワ寄り。まずは保湿を続けてみるのがいいと思います。うるおしても線が残るようなら、それが「残りはじめたシワ」。レチノールが関わってくるのは、こちらのほうです。細かく判定する必要はなくて、「保湿で戻るか、戻らないか」——それくらいの感覚でつかめれば十分です。

気になっているのが、繰り返す肌荒れやヒリヒリ、赤みだとしたら、それはレチノールで応える話ではありません。むしろ逆で、荒れているところへ慣れない成分を重ねると、負担になってしまいます。まず肌を落ち着かせるのが先。この順番だけは、間違えないでほしいんです。落ち着いてから、あらためて考えれば十分です。

気になっているのが、シミやそばかすという場合も、レチノールというより、別の成分が得意とする分野になります。無理にレチノールにこだわらなくて大丈夫です。

特に大きな不満はないけれど、「なんとなく良さそう」で調べていた、という場合。それなら、今すぐ手を出す成分ではありません。洗顔と保湿がちゃんと続けられているなら、それだけで土台は十分にできています。肌を長く見てきた立場から言っても、まずは今の肌を大事にするのがいちばんです。「そういう成分があるんだな」と知っておいて、気になったときにまた戻ってきてもらえれば。

まとめると、気づきはじめたシワやハリのなさが気になっていて、なおかつ今の肌が落ち着いている。そういう方は、この先の“始め方”に進んでみてください。

使う前に知っておきたい、40代男性の肌のこと

「よし、試してみよう」という方へ。始める前に、40代男性ならではの話を、少しだけ。

歳を重ねると、肌が自分を守る力は、ゆるやかに下がっていくと言われています。若いころなら平気だったことでも、今は肌が敏感に受け取ってしまう。「昔は何を使っても平気だったんだけどな」——その感覚は、いったん横に置いておくのが安全です。この“守る力”の話は、肌のバリア機能の話にまとめてあるので、気になったら覗いてみてください。

そして男性には、もうひとつ。毎日の髭剃りです。剃った直後の肌は、見た目にはわからなくても、けっこう敏感になっています。そこへ慣れない成分を重ねると、負担になりやすい。髭剃りのすぐあとだけは避ける——それだけでも、肌へのあたりはずいぶん変わります。

こう書くと身構える話に見えるかもしれませんが、怖がる必要はありません。レチノールは、いいはたらきが期待できるぶん、刺激も出やすい。だったら、自分の肌のペースで、ゆっくり付き合えばいい。押さえるのは、それくらいです。

レチノールの始め方は「少しずつ」から

始め方の考え方は、ひとつだけです。いきなりたくさん使わず、少ない量・少ない回数から慣らしていく。

久しぶりに運動を始めるときと、似ています。初日からいきなり全力で走れば、翌日、体のあちこちが痛くなる。でも、少しずつ距離を伸ばしていけば、体は無理なく慣れていきます。肌も、それと同じなんです。

週に何回、どれくらいの量かは、お使いになる製品の案内に従うのが基本です。たいていの製品が、始め方の目安を書いてくれています。まずはそれに沿って、肌と相談しながら進めてください。

使い始めて、肌が赤くなったりヒリヒリしたとき、それをどう受け止めればいいかは、レチノール配合の化粧品で赤み・ヒリヒリが出たときで整理しています。今日のところは、「最初は少しずつ」——これだけ覚えて帰ってもらえれば、じゅうぶんです。

もっと知りたくなった人へ

ここまでで、レチノールがどんな成分で、自分に関係のある話か、どう始めればいいか。その入り口は、ひととおりお話ししました。軽く知りたいだけなら、ここまでで大丈夫です。

もう一歩、という方に、道案内だけしておきますね。

商品を選ぶとき、「0.1%」「0.3%」といった数字を見かけて、迷うことがあります。この数字が何を意味するのか、なぜ「高いほどいい」とは限らないのかは、レチノールは濃度が高いほどいい?にまとめました。

それから、同じレチノールでも、「シワを改善する」と書いてある商品と、書いていない商品があります。これは中身の優劣ではなく、商品の“種類”の違いによるもの。化粧品と医薬部外品は何が違うのかで整理しています。

まとめ

最後に、要点だけ。

  • レチノールはビタミンAの仲間で、肌の生まれ変わりに関わる成分。長く使われ、研究の積み重ねもある
  • ヒアルロン酸などの「うるおいを保つ」成分とは、担当が違う
  • 40代でよく名前を見かけるのは、シワが「乾燥小ジワ」から「肌に残りはじめるシワ」へ入れ替わる時期だから。深く刻まれたシワをどうにかする話ではない
  • 見分けの目安は「保湿して戻るか、戻らないか」。戻るなら保湿の領分、戻らないならレチノールが関わる範囲
  • 気づきはじめたシワ・ハリのなさが気になるなら選択肢になる。肌荒れやシミが主な悩みなら、別の対応が先
  • 全員に必要な成分ではない。今の肌に不満がなく、洗顔・保湿が続けられているなら、無理に足さなくていい
  • 使うのは肌が落ち着いているときに。始めるなら「少ない量・少ない回数」から、製品の案内に従って

「レチノールって、結局どんな成分なんだろう」——最初のあの疑問に、少しは答えられていたらうれしいです。40代のスキンケアは、強い成分をあれこれ足すことより、自分の肌のペースを守ることのほうが、長い目で見て効いてきます。無理せず、少しずつでいきましょう。

著者:もぐ|元化粧品研究者
化粧品会社で約13年、保湿・バリア機能・美白・シワの研究に携わる。ヒト肌での水分量や刺激反応の測定などを担当。40代の当事者として、自分の肌で確かめながら「断言せず、考え方を届ける」スタンスで発信しています。

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