「塗るコラーゲン」は肌のコラーゲンになる?40代男性の誤解を元研究者が整理

塗るコラーゲンは肌のコラーゲンになる?本当の役割は保湿 成分・処方

「コラーゲン配合」と書いてあると、なんとなく良さそうに見えますよね。これを塗っていれば、シワも少しはマシになるのかな、と。

その感覚、半分は合っています。でも、半分は少し勘違いがあります。

私はもぐと申します。化粧品会社で13年ほど、保湿やシワなど、肌のことを研究してきました。だからこそ、この「なんとなく良さそう」に混ざっている勘違いを、まっすぐ整理してお伝えできると思います。損をしないために、少しだけ付き合ってください。

まず結論:塗っても、肌の中のコラーゲンは増えません

先に、答えをお伝えします。

塗ったコラーゲンで、肌の中のコラーゲンが増える。これは、あまり期待しないほうがいいと思います。「増える」とは考えにくい、というのが今のところの見方です。

「それでは意味がないのでは」と感じますよね。でも、コラーゲンにはちゃんと別の役割があります。それが分かると、見方が変わってきますので。

なぜ増えないのか——コラーゲンは「大きすぎて肌の奥に入れない」

理由はとても単純で、コラーゲンはとても大きいからです。

肌の表面には、外からいろいろなものが入ってこないように守っている、壁のような層があります。この壁はとても目が細かくできていて、小さなものは通れても、大きなものは通れません。コラーゲンは、その通れないほうの大きな存在なのです。

たとえるなら、玄関のポストに宅配便の段ボールを入れようとするようなもの。入り口のほうが小さくて、どうやっても入らない、という話です。

化粧品でよく見かける「浸透」という言葉も、届く範囲は肌の表面近くまで。肌の奥までどんどん入っていく、というイメージとは少し違います。

それに、仮に届いたとしても、塗ったコラーゲンが肌の中のコラーゲンに変わることはありません。肌の中のコラーゲンは、体が自分で作っているものだからです。外から材料を届ければ、そのまま完成品になる。そういう仕組みではないのですね。

「では、どうすれば増えるのか」への正直な答え

ここが、いちばん知りたいところだと思います。「増えないのは分かった。では、どうすれば増えるのか」と。

正直にお伝えします。「これをすれば確実に増える」という方法は、はっきりしていません。

肌の中のコラーゲンは体が作っているものなので、外から足せば増える、という単純な話にはならないのです。もしそんな確実な方法があれば、化粧品業界はとうにその話で持ちきりでしょう。中にいた者として、そう思います。

ただ、分かっていることもあります。紫外線は、肌のハリに関わる部分にダメージを与えると考えられています。ですから、日焼け対策には意味があります。

「増やす」よりも「減らさない」。攻めるよりも、守る。地味ではありますが、これがいちばん現実的なのですね。

期待していた答えと違っていたら、申し訳ありません。ですが、ここを安請け合いしないことが、いちばん誠実だと思っています。

では「コラーゲン配合」は飾りなのか——いいえ、保湿の実力で選ばれています

ここまで読むと、「なんだ、コラーゲン配合というのは飾りか」と思うかもしれません。ですが、そうではないのです。ここは、きちんとお伝えしたいところです。

コラーゲンは、肌の表面で水分を抱えこんで、うるおいを保つのがとても得意な成分です。ひとことで言えば、保湿が上手なのですね。

化粧品にコラーゲンが使われているのは、「塗れば肌のコラーゲンが増えますよ」と勘違いさせるためではありません。この保湿の実力を買われているから、というのが本当のところです。コラーゲンはたまたま、肌のハリに関わる成分として名前も知られている。そのうえ保湿も上手。だから選ばれている。それだけのことなのです。

塗った直後に肌がしっとりする、表面がなめらかに感じる。あれは、コラーゲンのまっとうな仕事です。

ここが本題です——40代の見た目に地味に効くのは「保湿」

そろそろ、あなたが本当は気にしていた「シワ」や「老け」の話に戻りますね。

実は、40代の見た目のケアで地味に効いてくるのが、この「保湿」なのです。

肌は、乾くとしぼんで見えたり、くすんで見えたりしやすいと考えられています。逆に、うるおいがあるだけで、なんとなく印象が整って見えるものです。特別なことをしなくても、まず乾かさない。これだけでも、ずいぶん違ってきます。

ですから「老け対策、何から始めればいいか」と聞かれたら、私はいつも「まずは保湿です」とお答えしています。高い美容液を一本奮発するよりも、乾かさない習慣のほうが、長い目で見て効いてくると思います。

そう考えると、コラーゲン化粧品も悪くありません。保湿の一員として、この土台をしっかり支えてくれます。増える・増えないの話に振り回されさえしなければ、なかなか頼れる相棒なのです。保湿の考え方そのものは、40代男性の保湿ガイドにまとめてありますので、あわせてどうぞ。

ついでに「飲むコラーゲン」はどうなのか

「では、飲むほうはどうなのか」。

今日は塗るほうが本題なので、軽くだけ触れますね。飲むコラーゲンも、「飲んだコラーゲンがそのまま肌のコラーゲンになる」という単純な話ではない、と考えられています。体の中で一度バラバラに分解されてから吸収されるので、「飲んだ分だけ肌に届く」というイメージとは違うのですね。

ただ、これは「無駄」という意味ではありません。分解されたコラーゲンは、体をつくる材料(アミノ酸)として、ちゃんと役に立ちます。肌にピンポイントで届くわけではないけれど、体全体の栄養としては意味がある。そういう位置づけです。

塗るにしても飲むにしても、「肌に入れた分だけ増える」という発想からだけ、いったん離れておくのが無難だと思います。

40代の、コラーゲン化粧品とのちょうどいい付き合い方

最後に、付き合い方を3つだけ。

ひとつめ。保湿の一員として使うこと。「ハリを取り戻す主役」ではなく、「うるおいを保ってくれる仲間の一人」くらいの距離感がちょうどいいと思います。

ふたつめ。期待をしすぎないこと。ハードルを上げすぎると、効果を感じられなかったときにがっかりして、続かなくなります。スキンケアは続けてこそなので、これは地味に大切です。

みっつめ。広告の言葉を鵜呑みにしないこと。「増える」「戻る」と読めてしまう見せ方に出会ったら、一度立ち止まる。それだけで、無駄な買い物はかなり減ります。ちなみに化粧品と医薬部外品では、書ける効能の言葉のルールが違いますので、その点も頭の隅に置いておくと安心です。くわしくは化粧品と医薬部外品の違いにまとめました。

私自身、研究をしていた頃から、成分に期待を乗せすぎないようにしてきました。「この成分は、肌の上でこういう仕事をしてくれる」と割り切って付き合うと、余計ながっかりがなくなって、かえって長く続けられるものです。

まとめ

少し長くなったので、まとめますね。

  • 塗ったコラーゲンで、肌の中のコラーゲンが増えるとは考えにくい
  • コラーゲンは大きく、肌の表面の壁より奥までは届きにくいから
  • けれど、肌表面のうるおいを保つ保湿の力は、ちゃんと備わっている
  • 確実に増やす方法はない。むしろ紫外線のような「減らす要因」を避けるほうが現実的
  • そして、40代の見た目のケアで地味に効くのは「保湿」。コラーゲン化粧品は、その土台を支える相棒

「コラーゲン配合、なんとなく良さそう」。その感覚は、間違っていません。ただ、「塗れば肌のコラーゲンが増える」という一点だけ、そっと外しておく。それだけで、コラーゲンとちょうどいい距離で付き合えます。

まずは、乾かさないこと。そこからで大丈夫ですよ。

著者:もぐ|元化粧品研究者
化粧品会社で約13年、保湿・バリア機能・美白・シワの研究に携わる。ヒト肌での水分量や刺激反応の測定などを担当。40代の当事者として、自分の肌で確かめながら「断言せず、考え方を届ける」スタンスで発信しています。

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