「化粧品」と「医薬部外品」は何が違う?40代男性が知っておきたい表示の読み方を元研究者が整理

薬用のほうが効く?化粧品と医薬部外品の違い 成分・処方

ドラッグストアで、似たような化粧水が2つ。片方には「薬用」と書いてあって、もう片方にはない。値段も少し違う。どっちを買えばいいのか分からなくて、手が止まったこと、ありませんか。

なんとなく「薬用のほうが効きそう」と思って、そっちを選んだ。そんな覚えのある人も多いと思います。

先に、いちばん大事なことを言ってしまいます。「薬用(医薬部外品)」のほうが必ず良い、というわけではありません。目的が違うだけなんです。

私はもぐと申します。化粧品会社で13年ほど、作る側にいました。その経験から、この「薬用」と「ふつうの化粧品」の違いを、売り場で判断できる形で整理してお伝えします。

まず結論:「薬用」=必ず効く・上位、ではありません

「薬用」や「医薬部外品」と書いてあると、なんだか格上に見えませんか。効き目が保証されているような気もします。

でも、そうではないんです。これは優劣の話ではなく、目的の違いの話です。

ざっくり言うと、こうです。

  • 化粧品:肌を清潔に保つ、整える、うるおすことが目的
  • 医薬部外品(薬用):それに加えて、国が認めた特定の目的(シワを改善する、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ等)に向けた成分が入っている

だから「どっちが上」ではなく、「自分は今、何をしたいのか」で選ぶもの。ここが分かると、売り場で迷わなくなります。

化粧品とは、どういうものか

化粧品は、肌を清潔に保ったり、うるおいを与えて整えたりすることを目的にしたものです。私たちが毎日使う化粧水も乳液も、多くはこの化粧品にあたります。

化粧品には、ひとつ決まりがあります。「これを使えばシワが改善します」といった、強い効能をうたってはいけない、という決まりです。

ただ、これを「効かないから言えない」と受け取らないでください。「制度上、そういう強い言い方はしない分類だから」うたっていないだけです。中身が優れた化粧品は、いくらでもあります。言葉が控えめなだけで、実力とは別の話なんです。

医薬部外品(薬用)とは、どういうものか

医薬部外品は、「薬用」と書かれることも多いものです。じつはこの「薬用」という言葉、医薬部外品にしか使えない呼び名だという決まりがあります。だから「薬用」と書いてあれば、それは医薬部外品なんだ、と考えて大丈夫です。私も、これを知るまでは意味が分かっていませんでした。

位置づけとしては、化粧品と医薬品の、ちょうど中間くらいと考えてもらうと近いです。

こちらには、国が「この目的にはこの成分が役立つ」と認めた成分(有効成分)が、決められた量の範囲で入っています。だから、その認められた範囲にかぎって、決まった効能をパッケージにうたうことができます。

たとえば「シワを改善する」「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ(=美白)」といった言葉です。こうした言葉が書けるのは、国の承認を受けた医薬部外品だから、という決まりになっています。

言いかえると、「薬用」という表示は、効き目の強さのランクではありません。「決められた目的の成分が、決められた形で入っていますよ」という目印なんですね。

だから、同じ「配合」でも意味が変わります

同じ成分名が書いてあっても、その言葉の重さは、化粧品か医薬部外品かで変わります。表示を読むうえで、ここがいちばん大事なところです。

医薬部外品で、その成分が「有効成分」として認められて入っている場合は、決まった効能をうたえます。一方、ふつうの化粧品に同じ成分名が「配合」と書いてあるときは、「入っていますよ」という事実を伝えているだけで、効能を約束するものではありません。

たとえばナイアシンアミドのような成分でも、この「配合」の意味は商品の種類で変わります。塗るコラーゲンのように、そもそも配合の狙いが保湿寄りの成分もあります。だから「配合と書いてある=効く」と早合点しないことが、賢い選び方の第一歩です。

「薬用のほうが効く」とは限らない理由

では、なぜ「薬用=効く」と言い切れないのか。理由は3つあります。

ひとつめは、目的が違うこと。医薬部外品は「決められた目的」に向けたものです。あなたのしたいことが、その目的と違えば、薬用である意味はうすくなります。

ふたつめは、化粧品にも優れたものが多いこと。うたえる言葉が控えめなだけで、使い心地や保湿の実力が高いものはたくさんあります。見た目の言葉だけで見劣りさせるのは、もったいない話です。

みっつめは、肌との相性が人それぞれなこと。どんなに承認された成分でも、自分の肌に合わなければ続きません。「薬用だから」で選んでヒリついてしまえば、元も子もないですよね。

つまり、「薬用かどうか」は、選ぶときのひとつの情報にすぎません。それだけで上下を決めるものではないんです。

【実用】売り場・通販で、表示のどこを見ればいいか

最後に、次の買い物ですぐ使える見方をまとめます。難しく考えなくて大丈夫です。

まず、自分の目的をひとつ決める。「テカリを抑えたい」「乾燥をどうにかしたい」「シミを防ぎたい」。これが出発点です。目的がないまま棚の前に立つから、迷うんですね。

次に、その目的が“決まった効能”にあたるか考える。「シミを防ぎたい」「シワを改善したい」のように、はっきりした目的なら、医薬部外品(薬用)で、その効能がうたわれているものを候補にするといいです。「とにかく乾燥を防いで肌を整えたい」なら、化粧品でも十分に選べます。

「そこまではっきりした悩みはない。なんとなく肌を整えたいだけ」。そういう人も多いと思います。その場合は、無理に薬用を選ばなくて大丈夫です。まずは化粧品で、使い心地がよくて毎日続けられそうなものを選ぶ。それが、いちばん失敗の少ない入り口です。悩みがはっきりしてきたら、そのとき薬用を検討すればいい話なので。

そして、パッケージの言葉と値段に振り回されない。「薬用」「高濃度」「高価格」は、良さの保証ではありません。目印のひとつとして見て、最後は自分の目的と肌で決める。これだけで、買い物の精度がぐっと上がります。

私自身は、「どういう効果がほしいか」で選ぶようにしています。そのうえで、同じ効果を狙うなら薬用を選ぶことが多いです。たとえばハンドクリーム。私はカサカサをどうにかしたいだけで、スベスベを目指しているわけではないので、その目的にまっすぐな薬用を手に取ります。「薬用が格上だから」ではなく、「自分の目的に合うから」で選ぶ。順番が逆にならなければ、それで大丈夫です。

まとめ

長くなったので、最後に整理します。

  • 「薬用(医薬部外品)」=必ず効く・上位、ではない。化粧品との違いは“目的”
  • 化粧品は「肌を整え、保つ」もの。強い効能をうたわないだけで、実力とは別
  • 医薬部外品は、国が認めた成分が決まった範囲で入り、決まった効能をうたえるもの(「薬用」はこの目印)
  • だから同じ成分名でも「配合」の意味は種類で変わる
  • 選ぶときは、①自分の目的を決める ②それが決まった効能にあたるか考える ③見た目の言葉と値段で選ばない

「薬用のほうが良さそう」。その感覚は自然なものですが、そこだけで決めなくて大丈夫です。次に棚の前に立ったときは、まず「自分は今これがしたい」から考えてみてください。それだけで、選ぶのがずいぶんラクになるはずです。

著者:もぐ|元化粧品研究者
化粧品会社で約13年、保湿・バリア機能・美白・シワの研究に携わる。ヒト肌での水分量や刺激反応の測定などを担当。40代の当事者として、自分の肌で確かめながら「断言せず、考え方を届ける」スタンスで発信しています。

あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました