スキンケアの「やりすぎ」が肌荒れを招く理由|元化粧品研究者がバリア機能から解説

スキンケア製品を並べてやりすぎを見直す40代男性のイラスト スキンケア基礎

私は化粧品会社でスキンケアの研究を13年やっていました。バリア機能や保湿成分を毎日研究してきた人間です。ところが自分のスキンケアはというと、長い間まるで別の話でした。

「良い成分が入っている」と聞いたものを次々と試し、化粧水・乳液・美容液・クリームと重ねていた頃、かえって肌荒れが続いていた時期があります。研究者なら肌のことをわかっているはずなのに、自分のこととなると逆走していた。後から振り返ると、やりすぎていたんだとようやく気づきました。

スキンケアを始めたばかりの頃、「ちゃんとやりたい」という気持ちから、ついあれこれ足してしまう。それがかえって肌の状態を複雑にしてしまうことがあります。この記事では、やりすぎがなぜ逆効果になるのかを、研究者として見てきた肌の仕組みから整理します。

やりすぎが逆効果になるのには、理由がある

なぜやりすぎると肌の調子が崩れるのか。二つのパターンで整理できます。

洗いすぎると、バリアが崩れる悪循環が始まる

肌の表面には「角質層」という薄い層があります。レンガを積み重ねたような構造で、その隙間をセラミドや天然保湿因子(NMF)が埋めることで、外からの刺激を防いで水分を守るバリアとして機能しています。

洗いすぎると、このバリアが傷つきます。水分が逃げやすくなり、乾燥を補おうと皮脂が過剰に分泌される。その皮脂をまた洗い落とそうとする——という悪循環に入ってしまうことがあります。「テカっているのに洗顔後は乾く」という状態は、まさにこのサインかもしれません。

40代になるとターンオーバー(肌の生まれ変わりサイクル)が遅くなってきます。若い頃は多少洗いすぎても回復できていたダメージが、追いつかなくなってきている。「昔と同じようにしているのに、なんか肌の調子が悪い」と感じている方は、まず洗顔の回数や強さを見直すだけで変わってくることがあります。

重ね塗りしすぎると、肌が処理しきれなくなる

保湿アイテムを何種類も重ねると「ちゃんとやっている感」が出ます。でも、肌が一度に吸収できる量には限りがあります。浸透しきれなかった成分が表面に残ると、毛穴への負担や肌荒れにつながる場合があることも知られています。

研究者として言えることがあるとすれば、「良い成分を足す」より「肌のバリアを守る」ほうが先、ということです。土台が整っていない状態では、どんなに良い成分を重ねても届きにくい。まず余計なものを減らして、バリアが回復する余地を作ることが先決です。

やりすぎのサイン、当てはまるものはありますか

以下の項目、心当たりはありますか。

  • 1日に3回以上洗顔している
  • 洗顔後5分以内にベタつきが戻ってくる
  • 保湿してもすぐ乾燥する
  • 使っているスキンケア製品が4種類以上ある
  • 毎週のように新しいものを試している

2つ以上当てはまるなら、「足す」より「減らす」方向を一度考えてみてください。

「引き算のスキンケア」という考え方

研究者として肌を長く見てきた経験から言うと、肌のバリアには本来、自己修復する力があります。問題は、余計なことをしすぎて、その力が発揮できていないケースが意外と多いことです。

「何かを足す」より「邪魔しない」ほうが効くことがある——引き算のスキンケアとはそういうことです。洗顔の回数を減らす、製品の種類を絞る、それだけで肌が落ち着いてくることがあります。

私自身、化粧水・乳液・美容液・クリームと重ねていたのを、化粧水と乳液だけに絞ってみたら、かえって肌の調子が安定してきた経験があります。引き算して初めて、何が本当に効いていたのかが見えてくることもあります。

まとめ:今日から一つ、減らしてみてください

スキンケアの「やりすぎ」は、真面目さが足りないからではありません。むしろ、真面目に考えすぎてしまうからこそ起きることが多いです。

今日から一つだけ、減らしてみてください。洗顔を1回減らす。製品を1つ休ませてみる。それだけです。難しく考えなくて大丈夫です。肌は、邪魔しなければ自分で整えようとします。まず今夜の洗顔を1回だけにしてみるところから始めてみてください。

洗顔のやり方そのものを一度見直したい方は、こちらも参考にしてみてください。
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